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ゆかねぇ(渡邊 由佳)
Gallup認定ストレングスコーチ・社会保険労務士
愛知県西尾市在住、京都市生まれ。
強みの伝道師として、一人でも多くの方が強みを活かして自分らしく生きていけるようストレングスファインダー(クリフトンストレングス)を使ったコーチングをしています。
TOP5は 未来志向・達成欲・戦略性・最上志向・活発性。
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標準報酬月額の資格取得時決定。いつやる?どうやる?徹底解説

こんにちは、 社会保険労務士の 渡邊 由佳  (@officeyuka) です。

会社が毎月納める 社会保険料 を計算する際に必要となる標準報酬月額は、基本的には1年間同じ額です。

しかし、入社時 や 給与額の大きな変動 などによってその都度決定・改定しなければならなくなる場合があり、タイミングや計算方法もそれぞれ異なります。

そこでこの記事では、まず社会保険の被保険者資格を新たに取得した方がいる場合に、標準報酬月額を決定する方法(資格取得時決定を解説していきます。

この記事では「社会保険=健康保険+厚生年金保険」と厳密にとらえてお話を進めていきます。

標準報酬月額の基本的な考え方については、次の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

目次

資格取得時決定の対象者

標準報酬月額の資格取得時決定が必要となる対象者は、文字通り健康保険・厚生年金保険の被保険者資格を新たに取得した方です。

具体的には「正社員として入社した方」や「当初は短時間(週20時間未満)で働いていたが、ガッツリ働き始めたために被保険者資格を満たしたパートさん」などが挙げられます。

注意しなければならないのは、必ずしも「入社してきた人だけ」が対象ではなく、以前から勤めていらっしゃる方でも働き方が変われば被保険者となる可能性があるという点です。

「被保険者に該当するかしないか」については、次の記事で詳しく解説しています。

資格取得時決定の算定方法

続いては、標準報酬月額の資格取得時決定 を行う際の算定方法です。

標準報酬月額の資格取得時決定 を行うときは、次の順番で行います。

  1. 対象となる方の報酬月額を計算
  2.  標準報酬月額等級表 に 報酬月額 をあてはめ、標準報酬月額を決定

あれ?標準報酬月額と報酬月額って違うものなの?

似たような言葉なので混乱してしまいますよね。

報酬月額とは、被保険者である従業員の方が実際に受ける報酬月額に換算したもののことです。

ただ、実際に各個人が受ける報酬を元に計算しているわけですから、当然 報酬月額 は人それぞれ異なります。

そのまま社会保険料を計算することもできなくはないですが、事務の煩雑化を避けるために、あらかじめ等級の定められた 標準報酬月額 にあてはめるという手順が必要になる、というわけなのです。

 

その 報酬月額 ですが、被保険者がどのような給与体系(月給・日給・時給など)かによって計算方法が異なりますので、ひとつずつ見ていきましょう。

  今後も「報酬」という表現を用いていきますが、意味は「給与」「給料」と同じ意味です!

① 月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合

資格を取得した被保険者の報酬が月、週その他一定期間によって定められる場合には、次の計算式よって報酬月額を算定します。

ここではいくつか注意点があります。

今後1ヶ月で受け取る見込みの報酬額で計算する

入社したばっかりなのにお給料払ってるわけないじゃないか!

おっしゃることはごもっともです。入社と同時にお給料を支払うなんてことはまずありません。

では「被保険者の資格取得日現在の報酬額」とは何かというと、いわゆる雇用契約書などに記載された基本給・諸手当になります。

また、月の途中で入社するなどして最初の給与が日割になったとしても、報酬月額は1ヶ月勤務した場合に支払うべき額を用います。

その期間の総日数で割る

報酬の総額を割るのは、あくまでもその期間の総日数であり、毎月や毎週の所定労働日数ではありません

最終的に「30」をかけるので、所定労働日数(週休2日ならおよそ21日ぐらい)で割ってしまうと報酬月額が大きくなってしまいますからね。

「報酬」に該当するものはすべて合算する

報酬の定義でもお伝えしましたが、労働の対償となるものであればすべて報酬となりますので、忘れずに合算する必要があります。

特に忘れがちなのが通勤手当です。3ヶ月分まとめて支払うような場合であっても月額換算して報酬に合算しなければならないのでご注意ください。

また、実際にはまだ残業などしていませんが、社内で同じような仕事をしている方がいれば、その方の残業時間などを参考に残業手当の見込み額も報酬額に参入します。

② 日、時間、出来高または請負によって報酬が定められる場合

資格を取得した被保険者の報酬が日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる場合には、報酬月額は次の額を用います。

 

被保険者が資格を取得した月1ヶ月間に、当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額

③ 上記①②の方法で算定することが困難な場合

上記①②の方法で算定することが困難な場合には、報酬月額は次の額を用います。

 

被保険者が資格を取得した月1ヶ月間に、その地方で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額

上記①〜③のうち2以上に該当する報酬を受ける場合

上記①〜③のうち2以上に該当する報酬を受ける場合には、それぞれについて、それぞれの方法で算定した額を合算したものを報酬月額とします。

資格取得時決定の有効期間

資格取得時決定された標準報酬月額は、被保険者資格を取得した時期によって有効期間が異なります。

被保険者資格の取得時期 標準報酬月額の有効期間
1/1〜5/31までに被保険者資格を取得した場合 その年の8月まで
6/1〜12/31までに被保険者資格を取得した場合 翌年の8月まで

資格取得時決定の手続き

資格取得時決定の手続きは、被保険者が資格を取得したことそのものの手続きと同時に行います。

手続き時期

資格取得時決定の手続き(=被保険者が資格を取得したときの手続き)は、資格を取得した日から5日以内届出を提出することにより行います。

届出用紙

資格取得時決定の手続きのときに届け出る用紙は「被保険者資格取得届」です。

この1枚で健康保険・厚生年金保険の両方の手続きをすることができます。

資格取得の手続きと同時なので、もちろん記入すべきところはすべて記入しなければならないのですが、「資格取得時決定」だけのことをいうと赤枠で囲んだ部分になります。

枠内に報酬月額を記入することで、「◯◯さん(被保険者資格を取得した方)の標準報酬月額は◯◯円ですよ」というように決定されるというわけです。

「被保険者資格取得届」は電子申請も可能となっています。

まとめ

標準報酬月額の資格取得時決定 は、基本的に「まだ支払っていない給与を元に報酬月額を算定し、決定する」という流れになるため、少しイメージしにくい部分があります。

仮に、算定した報酬月額と実際の報酬月額があまりにもかけ離れていた場合には 報酬月額を訂正するための届出 を提出することもできますが、やはり手間がかかります。

最初の段階でしっかり報酬月額を算定し、無駄のない手続きができるようにしていきましょう。

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