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ゆかねぇ(渡邊 由佳)
Gallup認定ストレングスコーチ・社会保険労務士CFP
愛知県西尾市を拠点に「強みの伝道師」として、一人でも多くの方が強みを活かして自分らしく生きていけるようストレングスファインダー(クリフトンストレングス)を使ったコーチングをしています。
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「法定」と「所定」の違いを徹底解説【労務用語の基礎知識】

こんにちは、 社会保険労務士の 渡邊 由佳  (@officeyuka) です。

労務用語の基礎知識、今回は「法定」と「所定」の違いについてです。

目次

言葉の意味

まずは、日本語そのものとしての意味を見てみます。

「法定」とは?

「法定」の意味を調べるとこのように出てきます。

【法定】

法令によって定められていること。また、その事物。

コトバンク」より引用

具体的には「法定利息」「法定速度」といったもの。いずれも法律で決められているのでこう呼ばれます。

労務管理上の「法定」も同様で、労働基準法などの法律で定められている事物を言い、「法定◯◯」と呼ばれます。

「所定」とは?

同じように「所定」の意味も調べてみます。

【所定】

決められていること。決まっていること。

コトバンク」より引用

こちらは法律上というわけではありませんが「何かしら決められていること」という意味合いですね。「所定の手続き」や「所定の期日」などと使ったりします。

労務管理上での「所定」は、会社など個々の事業場就業規則等により定められた個別の条件のことを言い、「所定◯◯」と呼ばれます。

では、日本語としての「法定」と「所定」の違いを理解したところでいよいよ本題です。

労務管理上、「法定」と「所定」の違いが特に重要となってくる場面を今から2つ取り上げます。

この違いを理解しておかないと、法令違反になったり、労使間のトラブルを招くことにもなりますので、しっかり説明していきますね。

「法定労働時間」と「所定労働時間」

1つ目は「労働時間」です。

法定労働時間

労働基準法で定められた労働時間を法定労働時間と言い、1日8時間以内・1週40時間以内(休憩時間除く)と定められています。

つまり、1日8時間・1週40時間を超える労働は原則禁止(違法)されているのです。

もし、労働時間が法定労働時間を超える場合には、いわゆる「36(サブロク)協定」の締結・届出が必要となります。

プラスα次の4つの事業のうち、常時10人未満の労働者を使用するもの(「特例対象事業」と言います)については、例外として1週間に44時間1日8時間まで労働させることができます。

  1. 商業の事業
  2. 映画・演劇の事業
  3. 保健衛生の事業
  4. 接客娯楽の事業

所定労働時間

次に所定労働時間ですが、これはそれぞれの会社で、就業規則等に定められている労働時間のことです。

[prpsay img=”https://officeyuka.com/wp-content/uploads/2019/01/ojisan3_question-2.png” name=””]じゃあ、法定労働時間を超えていても会社で定めたらOKなの?[/prpsay]

この質問に対する答えは「NO!」です。

なぜなら、労働基準法に違反する決まりごとはその部分については無効となり、その部分は労働基準法で定める基準で自動的に修正されてしまうからなのです。

注意すべきポイント

[prpsay img=”https://officeyuka.com/wp-content/uploads/2019/01/ojisan1_angry.png” name=””]あれ?残業したはずなのにちゃんと残業代がついてないよ〜[/prpsay]

こんな経験はありませんか?

実はここが「法定」と「所定」の間違いやすいポイントなのです。

いわゆる「残業」というと、会社が定めた「所定労働時間」を超えた時間に働くことと思いがちです。

しかし、労働基準法上の「時間外労働(いわゆる残業)」「法定労働時間」を超える時間の労働のことを指しています。

ここで、具体例をあげますね。

A社が、就業規則で以下のように定めていたとします。

  • 始業時刻:9:00
  • 終業時刻:17:30
  • 休憩:12:00~13:00(1時間)

この場合、A社の「所定労働時間」は7時間30分です。

そのため、もし9:00から18:00まで働いたとすると、いわゆる「残業」は30分ですが、法定労働時間(8時間)」は超えていないため「時間外労働」は0分となります。

ということは、A社からすると割増賃金(2割5分以上)を払う必要は法的にはない、ということになります。

[prpsay img=”https://officeyuka.com/wp-content/uploads/2019/04/-e1556087488551.jpg” name=””]もちろん、「所定労働時間」を超えた場合に割増賃金を支払うことは問題ありませんよ![/prpsay]

「法定休日」と「所定休日」

法定休日

法定労働時間と同様に、労働基準法で定められた休日を法定休日と言い、原則として毎週少なくとも1回とされています。

この法定休日は、労働基準法上では休日を特定することは要求されていませんし(特定することが望ましいですが)、休日が日曜や祝日である必要もありません。

また、全員に対して同じ日に休日を与える必要もありません。

プラスα法定休日の原則は「週休制」ですが、例外として「変形休日制」というものが労働基準法に定められています。

 

変形休日制とは、4週間で4日以上の休日を与えるもので、就業規則やそれに準ずるものにおいて4週間の起算日を明らかにして採用します。

この場合、起算日からの4週間で4日以上の休みがあればよいので、どの4週間を区切っても4日の休みがあるというわけではありませんし、違法ともなりません。

所定休日

所定労働時間と同様に、それぞれの会社で就業規則等に定められている休日のことを所定休日と言います。

現在は週休2日制の会社も多いですが、法定休日は原則として週1日なので、もう1日は所定休日ということになりますね。

注意すべきポイント

薄々お気づきかもしれませんが、休日の場合にも「法定」と「所定」の間違いやすいポイントがあります。

それは「休日労働」です。

[prpsay img=”https://officeyuka.com/wp-content/uploads/2019/01/ojisan3_question-2.png” name=””]会社が休みの日に出勤したら休日労働じゃないの?[/prpsay]

と思われるかもしれませんが、労働基準法上の「休日労働」「法定休日」に労働することを指しています。

またまた具体例をあげてみます。

A社が、就業規則で休日を以下のように定めていたとします。

  • 所定休日:毎週土曜・日曜・祝日
  • 法定休日:日曜日

この場合、土曜日や祝日に労働しても労働基準法上は休日労働とはなりません

ということは、A社は休日労働分の割増賃金(3割5分以上)を支払う義務は法的にはない、ということになります。

注意

具体例の場合、休日労働としての割増賃金を支払う必要はありません。

しかし、1週間単位で見た場合に、土曜日に労働することで1週間の労働時間が40時間を超えた場合には、超えた時間は「時間外労働」となります。

つまり、その分の割増賃金(2割5分以上)の支払いは必要となるので注意してください。

まとめ

今回は、特に割増賃金の面にスポットを当てましたが、働き方改革における「時間外労働の上限規制」を考えるときにもこの「法定」と「所定」の違いがとても大切になってきます。

この記事で違いをしっかり理解していただくことで、不要なトラブルがなくなればたいへん嬉しく思います。

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