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ゆかねぇ(渡邊 由佳)
Gallup認定ストレングスコーチ・社会保険労務士
愛知県西尾市在住、京都市生まれ。
強みの伝道師として、一人でも多くの方が強みを活かして自分らしく生きていけるようストレングスファインダー(クリフトンストレングス)を使ったコーチングをしています。
TOP5は 未来志向・達成欲・戦略性・最上志向・活発性。
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【働き方改革】「時間外労働の上限規制」の基本をわかりやすく解説します

こんにちは、 社会保険労務士の 渡邊 由佳  (@officeyuka) です。

「働き方改革」では多くの法改正や新しい制度の創設が行われますが、なかでも複雑な改正が「時間外労働の上限規制」です。

今回はこの「時間外労働の上限規制」について、基本からできるかぎりわかりやすく解説します。

目次

労働時間の大原則

改正内容の前に、労働時間についての大原則をご説明します。

原則:時間外労働・休日労働は禁止

労働基準法では、大・大・大原則として法定労働時間を超えて労働者を労働させてはなりません

また、法定休日にも労働させることはできません

法定労働時間・法定休日とは以下の通りです。

  • 法定労働時間:1日8時間および1週40時間
  • 法定休日:毎週少なくとも1日

似たような言葉として「所定労働時間」「所定休日」がありますが、あくまでも「法定」の労働時間や休日に対する規制であることにご注意ください。

例外:36協定の締結・届出

原則禁止というものの、時間外労働や休日労働を一切認めないとすると、企業の経済活動はマヒしてしまう恐れがあります。

そこで、適法に時間外労働や休日労働をさせるために労使協定の締結・届出という方法が認められています。

この労使協定は、いわゆる「36(サブロク)協定」と呼ばれるもので、「時間外労働を行う業務の種類」「時間外労働の上限」を定めなければいけないとされています。

これまでの時間外労働規定

36協定で定めなければならないとされていた時間外労働についてですが、実はこれまでは事実上上限がないも同然でした。

というのも、時間外労働については厚生労働大臣の告示(限度基準告示)によって上限が定められていたのですが、告示そのものには強制力がなく、たとえ限度基準を満たさない36協定であっても無効とはなりませんでした。

さらに、あくまで「時間外労働」に関する基準でしかなく、「休日労働」に関する定めは一切ありませんでした。

そのうえ、臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合には、特別条項付の36協定を締結しておけば、限度時間を超えて時間外労働を行わせることさえも可能でした。

つまり、上限なし・強制力なし・罰則なしのまったく実効性がない基準だったのです。

この、告示でしかなかった時間外労働の限度基準を法律に規定し、罰則をもって実効性を持たせたのが今回の改正というわけなんですね。

「時間外労働の上限規制」の内容

では、いよいよここから改正の内容を解説していきます。

原則

時間外労働の上限は、原則として月45時間・年間360時間となります。

この上限は、臨時的な特別の事情がなければ超えることはできませんし、原則の上限には、休日労働の時間は含まれません

例外(臨時的な特別の事情)

もし、臨時的な特別の事情があって、労使が合意する場合(特別条項)でも、以下の上限をすべて守らなければなりません。

  1. 時間外労働が720時間以内
  2. 時間外労働と休日労働の合計が100時間未満
  3. 時間外労働と休日労働の合計が、「2ヶ月平均」「3ヶ月平均」「4ヶ月平均」「5ヶ月平均」「6ヶ月平均」ですべて1ヶ月あたり80時間以内
  4. 時間外労働が45時間を超えられるのは年6ヶ月が限度

これはもう、はっきり言って複雑なパズルです…。

読み解くポイントとしては、

  • 合計時間に「休日労働」を足すか足さないか
  •  合計時間を「年」で見るか「月」で見るか

だと思います。

また、③については1年のいつ、どの期間(2〜6ヶ月)を切り取っても1ヶ月あたり80時間以内であることが必要です。

注意

②と③は、特別条項の有無に関わらず守らなければなりません。

仮に、1ヶ月の時間外労働が45時間以内に収まっていたとしても、休日労働を合計して100時間を超えてしまってはいけない、ということです。

適用猶予・適用除外

今回の「時間外労働の上限規制」は2019年4月1日から施行(実施)されますが、一部の事業・業務については実施が猶予されたり、適用そのものが除外されたりしています。

中小企業は2020年4月1日まで猶予

まず中小企業に対してですが、1年間猶予され2020年4月1日から規制が適用されます。

中小企業とは?

中小企業と判断されるためには、「資本金の額または出資の総額」「常時使用する労働者の数」いずれかが以下の基準を満たしていることが必要です。

業種 資本金の額または
出資の総額
常時使用する
労働者数
小売業 5,000万円以下 または 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他 3億円以下 300人以下

2024年4月1日まで適用が猶予される事業

以下の事業・業務については、5年間猶予され2024年4月1日から規制が適用されます。

  • 建設事業
  • 自動車運転の業務
  • 医師
  • 鹿児島県および沖縄県における砂糖製造業

適用が除外される業務

新技術・新商品等の研究開発業務については、現段階では時間外労働の上限規制が適用されません

罰則

時間外労働の上限規制に違反した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。

具体的にどういった場合が違反となるか?については以下のとおりです。

  • 36協定を締結せずに時間外労働をさせた場合(労働基準法第32条違反)
  • 36協定で定めた時間を超えて時間外労働をさせた場合(同上)
  • 36協定で定めた時間にかかわらず、以下の場合(労働基準法第36条第6項違反)
    • 時間外労働と休日労働の合計時間月100時間以上となった場合
    • 時間外労働と休日労働の合計時間について、2~6ヶ月の平均のいずれかが80時間を超えた場合

まとめ

時間外労働の上限規制について、いかがでしたでしょうか。

今回の法改正の上限は、あくまでも「上限」でしかありませんので、時間外労働・休日労働は可能な限り必要最小限にとどめることが必要です。

労働者の健康を確保し、企業の生産性を高めるためにも、ぜひ時間外労働の縮小に取り組んでみてくださいね。

 

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