【働き方改革】フレックスタイム制の基本と改正内容をわかりやすく解説

こんにちは、 渡邊 由佳(@officeyuka) です。

2019年4月から フレックスタイム制 が改正され、今までより柔軟な働き方の選択が可能となりました。

とはいえ、元々の制度内容が複雑なうえでの法改正ですから、「そもそもの内容がわかってないのに法改正まで手が回らない」という場合も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、フレックスタイム制の基本から改正内容までわかりやすく解説します。

制度の趣旨と現状

まず一番最初に、フレックスタイムという制度の趣旨現在の日本での状況についてご説明します。

フレックスタイム制とは?

フレックスタイム制 とは、一定の期間 についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間 を自ら決めることのできる制度です。

労働者側のメリット

働く側のメリットとしては、日々の都合に合わせてプライベートと仕事に時間を配分することができ、プライベートと仕事とのバランスが取りやすくなるという点が挙げられます。

使用者側のメリット

フレックスタイム制は、実は会社側にとってもメリットがあります。

まず、労働者が自身の労働時間を効率的に配分することが可能になるので、労働生産性の向上が期待できます。

また、仕事と生活の調和を図りやすい職場となることによって、労働者に長く定着してもらえるようにもなるのです。

フレックスタイム制の現状

とはいえ、今の日本を見てみると、フレックスタイム制はまだまだ普及していないのが現状です。

なんらかの変型労働制(1ヶ月単位や1年単位など)を採用している企業は全体の60.2%ですが、その中でフレックスタイム制を採用しているのはわずか5.6%にすぎません(平成30年就労条件総合調査より)

国としてはフレックスタイム制をもっと普及させたい思いもあるのでしょうが、現状はなかなか…というところのようです。

フレックスタイム制の基本ルール

続いて、フレックスタイム制を導入するにあたっての基本ルールです。

導入には就業規則等への規定と労使協定の締結が必要

フレックスタイム制を導入するためには、①就業規則等への規定②労使協定の締結の二つが必要です。

①就業規則等への規定

フレックスタイム制を導入するにあたっては、まず就業規則その他これに準ずるものにより、始業及び終業の時刻を労働者に委ねる旨を定めなければなりません。

ここで定めるのは、あくまでも「始業と終業の時刻をいつにするかは労働者の自主的な決定に委ねるよ」ということだけでOKです。

ただし、コアタイム及びフレキシブルタイムを後述の労使協定で定める場合は、就業規則にも定める必要があります。

MEMO

【コアタイム、フレキシブルタイムとは?】

コアタイム は労働者が労働しなければならない時間帯のこと、フレキシブルタイム は労働者がその選択により労働することができる時間帯のことです。

②労使協定の締結

さらに、労使協定で次の事項を定める必要があります。

  1. 対象となる労働者の範囲
  2. 清算期間
  3. 清算期間における総労働時間(所定労働時間)
  4. 標準となる1日の労働時間
  5. コアタイム(任意)
  6. フレキシブルタイム(任意)

対象となる労働者の範囲は、労使間の協議で任意に定めることができます。

必ずしも全員を対象にしなければならないわけではありません。

時間外労働に関する取り扱いが通常と異なる

通常であれば、労働時間が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた場合には時間外労働となり、割増賃金の支払いが必要になります。

▶︎関連記事:【労務用語の基礎知識】「法定」と「所定」の違いを徹底解説

しかし、フレックスタイム制の場合は労働者自身が日々の労働時間を決定するため、法定労働時間を超えたからといってただちに時間外労働とはなりません

反対に、1日の標準となる労働時間に達しない時間欠勤となるわけではありません

ではどうなるのかというと、フレックスタイム制を導入した場合には、清算期間における実際の労働時間のうち、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間数が時間外労働となります。

注意
時間外労働を行わせるには、36協定の締結が必要です。

清算期間における法定労働時間の総枠の計算方法

清算期間における法定労働時間の総枠は、次のように計算します。

労働時間に過不足が発生した場合には賃金の清算が必要

フレックスタイム制を採用した場合には、清算期間における(a)総労働時間(所定労働時間のこと)(b)実際の労働時間の合計との過不足に応じて、次のように賃金の清算を行う必要があります。

(a)総労働時間<(b)実労働時間の合計 の場合

清算期間における(b)実労働時間の合計 が (a)総労働時間 を上回った場合は、超過した時間分の賃金を清算し、追加して支払う必要があります。

この場合については、特に難しいことはないはずです。

(a)総労働時間>(b)実労働時間の合計 の場合

清算期間における(b)実労働時間の合計 が (a)総労働時間 を下回った場合は、次のいずれかの方法で賃金の清算を行う必要があります。

  1. 不足した時間分を賃金から控除
  2. 不足した時間分の賃金は控除しないが、その時間を翌月の労働時間に加算して労働させる

②の場合、その清算期間では実労働時間よりも多く賃金を支払いますが、労働時間の不足分を次の清算期間に加算して労働させることができるということです。

ただし、加算後の時間(総労働時間+前の清算期間における不足時間)は、法定労働時間の総枠の範囲内である必要があります。

フレックスタイム制の改正内容

ここまでフレックスタイム制の基本ルールを見てきましたが、いよいよここから2019年4月に改正された内容に入ります。

清算期間の上限が1ヶ月→3ヶ月に

もっとも大きな改正点は、今まで1ヶ月だった清算期間の上限が3ヶ月になったことです。

この改正により、労働者はより長いスパンで労働時間を調整することが可能になりました。

たとえば、次のようなことも可能になります。

  • 小学生のお子さんがいらっしゃる場合、6月は長く働き8月は早く帰る
  • 資格取得を目指している場合、試験直前の月は早く帰って追い込みをかける

時間外労働の規定が細かく(1ヶ月を超える場合)

清算期間の上限が3ヶ月になったため、時間外労働についてより詳細に規定されました。

具体的には、清算期間が1ヶ月を超える場合には次の要件を満たさなければならず、いずれかを超えた場合は時間外労働となります。

  1. 清算期間における総労働時間が、法定労働時間の総枠を超えないこと
  2. 1ヶ月ごとの労働時間が、週平均50時間を超えないこと

もし、清算期間が月単位ではなく最後に1ヶ月に満たない期間が発生した場合には、その期間について週平均50時間を超えないようにする必要があります。

労使協定の取り扱いが変更(1ヶ月を超える場合)

改正前は労使協定の届出は不要でしたが、清算期間が1ヶ月を超える場合労使協定を所轄の労働基準監督署に届け出なければならなくなりました。

もし届け出なかった場合には、罰則(30万円以下の罰金)が科されることがあります。

また、清算期間が1ヶ月を超える場合には、労使協定に有効期間の定めをすることとされました。

清算期間が1箇月を超える場合の協定届は、以下のリンクからダウンロードできますのでご活用ください(Wordの書類がダウンロードされます)。

参考 清算期間が1箇月を超えるフレックスタイム制に関する協定届厚生労働省

完全週休二日制の事業場におけるフレックスタイム制

これまでは、完全週休二日制の会社でフレックスタイム制を導入すると、曜日の巡りによっては1日8時間相当の労働でも(=法定労働時間内でも)法定労働時間の総枠を超えてしまうということがありました。

そこで、週の所定労働日数が5日(完全週休二日制)の労働者については、労使協定により労働時間の限度を「8時間×清算期間の所定労働日数」とすることが可能となりました。

まとめ

フレックスタイム制を導入している企業はまだまだ少ないですが、これから働き手が減っていく中で多様な働き方を可能にする制度だと思っています。

法改正を機に、導入を検討してみるのもよいかもしれませんね。

※参考資料:厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き

合わせて読みたい関連記事

【働き方改革】「年5日の有給休暇取得義務化」の基本をわかりやすく解説します 【働き方改革】「時間外労働の上限規制」の基本をわかりやすく解説します 【働き方改革】勤務間インターバル制度導入の努力義務化をわかりやすく解説